外国人が日本で生活するために、パスポートや在留カードは必要不可欠なもので、本人が自ら管理するのは当然のことであるはずです。パスポートや在留カードがなければ、自分の身分を証明することも、出国も在留に関する届出もできないという状況に陥ってしまいます。

 

 ところが、先日私たちの同業者である「行政書士事務所」が、雇用している外国人のパスポートを「雇用者側で預かる」という内容の契約を結び、外国人が退職を希望しているにも関わらず、返還に応じないという事件が大きく報道されました。

 留学生が就職して就労可能な「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を得るためには、就労先の業務が自身の専攻分野などと関連していることが必要になります。また就職活動をするために認められている期間内に就職できなければ、帰国を余儀なくされてしまいます。

 

 そういった、外国人の「弱みにつけこんで」本来は行うべきではない、雇用者がパスポートを預かり、外国人を縛ってしまうという事件が起きているのは、まぎれもない事実です。もちろん、パスポートを雇用者が預かる内容の契約は無効とされることになりますが、その間外国人本人は、不安定な立場に置かれてしまうことになります。

 

 パスポートを強制的に預かるという事件は、技能実習法施行前に「技能実習生のパスポートを強制的に預かり、失踪を防止する」といった内容で大きく問題となりました。現在では、技能実習生のパスポートを預かることは罰則付きで禁止されています。

 

 技能実習生以外の外国人についても、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」を発表し、その中で「旅券(パスポート)などを保管しないこと」を求めています。

 

 外国人雇用の基本中の基本は「外国人の人権を守る」ことです。それができないのであれば、外国人を雇用する資格はありません。

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